――――――
ある日、Bが恐る恐るセバスチャンに声を掛けた。
「すみませんが、明日一日休みを下さい………」
近頃めっきり瘴気にやられて使いものにならなくなっていたこともあり(酷)
セバスチャンはあっさり了承した。その途端。
「
ありがとうございますぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
滂沱の如く涙を流しながら全身で喜びをあらわすBに、さすがのセバスチャンもちょっと引いたが、
今のBにはそんなこと、心底どーでもよかった。
何度も礼を述べてから仕事に戻ったBをセバスチャンは黙って見送った。
「………ついに壊れたか……?」
……さり気に酷いことを(今更だが)考えながら。
―――
そして翌日。Bは朝から浮かれていた。
浮かれすぎて、あのセンサーが働かないほどに………。
「やぁB君。ご機嫌だね」
ポン、と軽く肩を叩かれ、振り向いた瞬間Bは固まった。
――――――目の前に、魔王が居る。
いつものように逃げることすら出来ず、石造と化したB。
魔王……ユーゼフはその反応に楽しそうに笑った。玩具を捕まえた瞬間である。
「び、B―――っ!」
(実は居た)Aが同僚を心配して叫んだとき。
「B。こんなところにいたのか」
「「!!?」」
突然の闖入者。ユーゼフとAが声の主に誰何の目を向けるより早く、石化していたBが走った。
デーデマン家で鍛えられた健脚でもって、その闖入者に駆け寄り、そして抱きつく。
「に、ににににににに……っ!!!」
「落ち着けB。落ち着いて、ちゃんと人の言葉を話せ」
3頭身化して抱きついたBを、その人は淡々と諭す。驚いた様子も疎んじる様子も無い。
真正面からぐりぐりと抱きつくBをあやしながら、未だ呆然と見守る二人にやっと気付いたように声を掛けた。
「あぁ、すいません。初めまして」
ぺこりと一礼。そして、「お前誰?」と目で問う二人に。
「俺はBの兄で、ディオスといいます。いつもBがお世話になっています」
意外な事実を告げた。
「えぇぇっ!? Bって兄弟いたの!!?」
「へぇ、B君の………」
大声を上げたAと、またも楽しそうに笑うユーゼフの前で、
兄と名乗った青年はBをあやす体勢のまま、無表情にまた一礼した。
―――
「まぁ美形!! これは是非データを集めて次の本のテーマにしなきゃ!!」
………柱の影からは腐乙女・ツネッテが目を輝かせていた。
―終わり。
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